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RESEARCH

社会的迷惑行為の抑止方法としての感謝

 

 ゴミを分別しない、電車内で化粧をするなど、私たちの身の回りには、他者に迷惑をかける行為である「社会的迷惑行為」が数多く見受けられます。

 私は、社会的迷惑行為を抑止する方法として、感謝を表現することを検討しています。たとえば、「ゴミを分別していただきありがとうございます」という貼り紙を貼ることも一つの方法です。

 こうした感謝の表現は、社会的迷惑行為の抑止にあたって果たして効果的なのか、そして、効果的であればなぜそうなのか、どのようなときに特に効果的になるのか、といったことを検討しています。一連の研究を通して、現時点では以下のことが明らかになっています。

 

  1. 感謝の表現は、社会的迷惑行為の抑止に常に効果的に作用するわけではないけれども、条件が整えば、受け手にポジティブな感情も生起させつつ効果を発揮する。

  2. 感謝の表現は、受け手に「好意を与えてくれた他者に対して同様なお返しをしなければならない」という互恵性規範を喚起させ、社会的迷惑行為を抑止する。

  3. 感謝の表現を抜きにして互恵性規範のみを喚起させても、状況によっては社会的迷惑行為を抑止することが可能である。


 以上のことから、感謝の表現は、比較的反発心を駆り立てることのない互恵性規範の作用によって社会的迷惑行為を抑止する有効な方法であると考えられるでしょう。

社会に合わせた迷惑行為抑止方法の提案

 

 現在は、社会に合わせた社会的迷惑行為の抑止方法を提案するための研究にも取り組んでいます。そのために、地域ごと、年代ごと、国ごとで、どのような社会的迷惑行為の抑止方法が行われ、どのような方法が効果的だと評価されているのか、といったことを調べています。

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